どうもヒトリベです。
理系院卒で研究員として新卒入社したものの、この先研究員としてキャリアを続けていけるか不安だ。
そう感じている第二新卒の方も多いのではないでしょうか。
私もそう感じた一人で、新卒で研究者として入社した会社に4年余り勤めた後に転職しました。
そうした経験から、理系院卒の研究者が考えるべきキャリアプランについて考えてみました。
企業における研究者とはどんな仕事か
商品に繋がる研究が求められる
当然ですが商品になりうる研究が求められます。研究開発は未来の収益源への投資であり、株主へのアピール材料にもなります。当然、投資に対するリターンは他の投資と同様に求められるために、研究活動の成果評価が行われます。研究活動の成果評価はその手法が確立されておらず、企業間で評価制度にかなりばらつきがあるのが現状です。
しかし、いずれにしても、個人の努力目標やプロセスが上司によって適切に評価されていても、最終的には人事で評価が決まり、結局は製品化につながった成果などを主に評価することが多いと言えます。企業としては成果の出ない研究に何年も、何十年も費やしているわけにはいきません。そこで、成果として仕上げるには何が必要かを考える事が、企業の研究員に求められているのです。
では、製品化につながる成果には何が求められるでしょうか?
品質、コスト、納期、倫理(QCDE)
成果とは収益です。誰も発見したことのない原理や新しい技術は確かに魅力的で、世の中のあたりまえを変えうる凄まじいインパクトがあります。しかし、こうした発見は企業において短期的には求められていないと考えるべきでしょう。それよりも、連続的なイノベーションを繰り返し、絶えず製品をアップデートしていくことが必要です。連続的なイノベーションには、品質の向上、コストの削減、納期の短縮が必ず求められます。
こうした概念は、ものづくりにおいて元々QCD(品質、コスト、納期)と呼ばれていましたが、近年は環境のEを加えてQCDEと呼ばれています。私は環境だけでなく、法令順守やコンプライアンスなどの倫理Ethicsも含まれていると捉えています。企業における研究ではこれら4つの観点が特に大切にされており、特にQとEをさらに意識するようになっていると感じています。それは、市場が常に変化し、顧客の求めるレベルが高まり続けていることに加え、株主をはじめとするステークホルダーに明確な姿勢を示す必要に迫られているからだと感じます。
ある意味自由度の高い企業の研究者
企業の研究者というと、皆さんはどんなことをイメージされていますか?マネジメントからの指示でほとんど自由度がないと思われるかもしれません。配属先の上司によりますが、実は意外と自由度が高いです。期初に立てた目標に対して、ある意味どんなルートでも、目標を達成することが出来ればOKです。
目標を立てて進める点ではアカデミアと何ら変わりはありませんが、アカデミアより目標が目先のものであったり、より具体的であることが多いと感じます。これを面白いと思うかは個人の問題ですが、ある程度は実現可能な目標を掲げて確実にクリアしていくスタイルを苦と思わないのであれば、企業での研究は比較的楽だと感じると思います。目標はマネジメント側と納得して決めたものを設定し、その目標を達成出来るめどを立てれば、極端な話ですが後は自由に研究をして問題ないとされている会社が多いように思います。もちろん会社の利益になると思えるものに限りますが、企業の研究は自分の取り組み方次第で自由度の高いものへと変えられると考えています。
20代が本当に考えるべきキャリアプランのミソ
こうした企業における研究の特性を考えると、研究員として自分が何を目指すべきかを考える必要があると思います。
「研究員として配属されたので、研究員として働く間は研究を一生懸命やるんだ!」と視野の狭い考えではなく、より幅広い視点で自分のキャリアを考える必要があると思います。
ずっと研究が出来るのは一握りの人間
研究者として手を動かしながら活躍できるのは35~40歳くらいまでです。その後は、マネジメント職となったり、間接部門へ異動したりする場合が多いでしょう。あるいは研究者と言いながら、実際には研究と言えないようなマネジメントから与えられる指示をこなす「エセ研究者」になるでしょう。ほんの一握りの人が、自ら考えて成果を出し続ける研究者として生き残れるのです。この一握りの人に残れなかった時、どうするのか。考える必要があります。
研究しながらバリューチェーンを学ぶ
研究者は研究しかできないかと言うとそうではありません。数字に苦手意識が少なく、論文や特許で文書作成能力も期待でき、プレゼン技術もある人はあるはずです。しかし、探求心が強すぎるあまりサイエンスの領域に思考が偏りがちだと思います。つい「なぜ?どうして?」と真理を追い求めてしまうのですが、追いすぎるともはや趣味の領域です。
そうではなく、少し俯瞰してみて、それが本当に必要な探求かを考えるべきです。実は研究者はバリューチェーンを学ぶ上で非常に有利なポジションにいて、仕入れ、製品化(製造)、出荷、マーケティングまで広く接する機会を持っています。企業に限らずビジネスをするうえでは、どのように付加価値をつけて、利益を上げるかがカギとなります。起業や副業でビジネスを行うにも、こうした概念は非常に役立ちます。
研究者としての自分+α
とはいえ、研究者として採用されたからには、研究者として探求心を忘れずに研究に没頭することは大切です。企業は遠い将来に芽生えるような技術を期待して、研究者を採用しているからです。しかし、研究員として生き残れるのは僅か一握りの人間だけです。
そこで、研究員+αの付加価値を何か見つけておくことが必要だと思います。私の場合は、語学が堪能であり、企業内通訳を担っていました。+αはどんなことでも構わないのですが、可能であればこれからも求められるスキルが良いのではないかと思います。例えば、マーケティングはいつの時代にも必要ですし、AIやIoTに関連したITスキルも良いでしょう。あるいは弁理士や技術士などの業務独占が可能な士業でも良いと思います。さらにこれからの時代では
こうした+αは、企業内での活躍の場を広げるだけでなく、副業や独立でも有利になると考えています。
企業における研究開発費は微増していますが、日本は他国に次々と抜かれており、今や世界のTOP3には入っていません。
ずっと研究できると安易に考えるのではなく、キャリアプランを見つめ直すことも必要だと改めて感じています。
キャリアアップに必要な3つの習慣
では、キャリアプランを考えるうえで、具体的にどうすれば良いのでしょうか。同僚、先輩、友人、家族にキャリアを相談するのもOKですが、それでは狭いコミュニティに縛られてしまっています。同じような考えやバックグラウンドを持った人と話しても同じような結論にしか至りません。大切なことは「どんなキャリアが今後必要とされるか」を「より多くの情報網から」、「定期的に」入手することです。では具体的にどうすればよいのでしょうか。
とりあえず転職サイトに登録してみよう
具体的な方法は沢山ありますが、手っ取り早いのは転職サイトあるいは転職エージェントに登録することです。日常の業務で忙しいでしょうから、転職サイトに登録しておいて、気になる求人等がメール送信されるように設定しておけば、業界が今求めているスキルやあなたのおよその市場価格が把握できます。そこからあなたが磨くべきスキルが何となく見えてくるでしょう。現在だと、AIやIoTの進化で「統計」「プログラマ」「データサイエンティスト」などが、キーワードに多く上がっていることが分かります。この先は、リモート化がさらに進み、環境工学やSDGsなどの重要性の増大、研究分野でのシェアビジネスの拡大など、経営を取り巻く環境の変化が容易に想像できます。
私のお勧めは転職エージェントへの登録です。多くのエージェントがありますが私はリクナビエージェントを使っていました。求人数は業界最多クラスですし、ハイクラス求人も多いです。私は入社して数か月の段階で一度面談を受けて、明確なキャリアプランを立てることが出来ました。そのプラン通りに行動し、海外駐在を経て、帰国後に改めてエージェントと面談しました。そして魅力的な求人に出会い、今の会社に転職を成功させました。登録は無料で、現職の会社にバレる事はありませんので、まずは登録してみる事をお勧めします。
また、弊ブログ「春は短し旅せよ20代」では、研究者の転職をステップごとにまとめて記事にしております。宜しければ是非ご覧ください。
アウトプットを意識しよう
何事もそうですが、アウトプットを意識するべきです。いくらインプットしても、自分の理解レベルがどれほどなのか知ることは大変難しいです。今はTwitterなどのSNSで自分を発信する機会はいくらでも作れます。まずは、ただひたすらに発信することで、自分のインプットを整理しましょう。いずれは、コメントや意見を貰うことが出来ます。コミュニティや専用の無料サロンに登録するのも悪くありません。例えば、最近では「Hello Talk」という英語学習アプリがありますが、基本的に無料で「言語交換」が出来ます。ニュースや日々の生活で感じたことを英語でつぶやくと、原則は英語ネイティブの日本語を学びたい人があなたのつぶやきに反応して、添削、コメント、いいねなどを残してくれます。ずっと続けていると、英語でのアウトプットへの抵抗が無くなり、大変お勧めです。英会話の時間が取れない方も、つぶやきは時間と場所を選びませんので最適です。
アウトプットを意識することの意義は、ゴール視点に立てることにもあります。インプットは下準備でしかなく、スタートラインにすら立っていません。最初のアウトプットをして、初めてスタートラインです。最初のアウトプットの直後は、ゴールを見上げて到底達成出来そうにないと感じるのですが、それが最も重要です。初めてゴールを感覚的にしかし明確に意識できるからです。私はゴール視点をいつも大切にしており、だからこそ、まずは「やってみる」のです。プランを入念に練って石橋を叩き割る人が沢山いますが、全く意味がありません。「やってみる」事に何のデメリットもないからです。コンプライアンスに違反しているような場合を除けば、企業の研究においても全く同じことが言えると思います。
キャリアアップは「辞めずに」続けるべき
意外と多いのですが、「この会社を辞めてから探す」と言って会社を去る人を何人か見てきました。病気やケガによるものは大変残念ですが、仕方ありません。ご自身の体を最優先して、治療に専念してください。そうでなければ、辞める必要は全くありません。幸いというべきか、残念ながらというべきか、ほぼ大半の日系企業では「クビ」がありません。だから、怠けても良いといっているわけでは決してありませんが、必要最低限の業務はこなして、転職活動やキャリアアップのための活動をしても良いです。海外では、キャリアアップの為の離脱は一般的な事ですが、日本では一部の会社を除いてまだ定着していません。しかし、あなたの人生ですから、「ギャンブル」のように辞めてから転職先を探すようなことをする必要は全くありません。後ろめたい気持ちがあるなら、必要最低限の業務はしっかりとやりながら、活動すべきです。転職先も決めずに突然辞めて、業務を途中で投げ出すくらいなら、ずっとましです。厳しい言い方ですが、会社からしてみれば、成果が出るなら何でもいいのです。
いかがでしたか?
研究者として働くうえで必要なキャリアプランについて考えてみました。
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